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e-cor エコール フランス語コミュニケーション教室

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        日々是々 フランス語とわたしの冒険

        日々是々 フランス語とわたしの冒険

Claire de lune
Claire de lune

「わたし」を言うフランス語

March 3, 2007

前々回、フランス語特有の言い回しということで、 大家さんの「オマエ(洗濯機)ハモウシンデイル・・・」発言の中で 洗濯機を示す主語に代名詞の女性形Elleが使われるという話をしましたが、 これを裏付ける場面に遭遇しました。

1週間の休みが明けて2学期が再会した月曜日、友人のイザベルに洗濯機爆発騒動を話そうとして・・・

La machine à laver de chez moi, ce n'est pas à moi, c'est à ma propriétaire, elle est très vieille...

「家の洗濯機ね、わたしのじゃなくて、大家さんのなんだけど、それ(elle)がすごい年季入っててさ・・・」

と、言いかけたら、

Eh, c'est ta machine ou ta propriétaire qui est vieille ? 「ね、大家さんと洗濯機どっちのこと言ってんの?」

と突っ込まれた。 その瞬間、「これはすごいネタ提供をしてもらった!」と思わずにやにやしてしまい、 冗談だか本気だかどちらかわからないようなツッコミをしたイザベルもにやにやとし、 私たちは怪しいふたり組みでした。

わたしは Elle = la machine à laver (洗濯機、女性) のつもりで発言したのですが、直前に ma propriétaire (うちの大家さんは女性なので、所有代名詞は女性形の「ma」)という単語が挟まっているので、聞き手としてはElle がどちらを指しているのかをとっさに判断しかねます。

日本語で洗濯機は「古い」といいますが、お年寄りのことを「古い」とは言いません。けれど、フラ語ワールドでは、vieux(vieille)「古い」という意味を表す形容詞は生物にも無生物にも使われます。これが、更に曖昧さを加えることになったのです。

こんな風に、言語が違うと思考回路も変わってくるため、母国語にはない言語学的ふしぎ体験をしてしまうことがあります。

さて。 自己主張の上手下手は言語に左右されるのでは、という話です。

日本語は主語が3人称でない限り、はっきりと「誰」を言わない言語です。 特に自分のことや、面と向かっているときの「あなた」という言葉を はっきりと音にせず、雰囲気で伝えてしまえる言葉だからです。 誰かと話していて、「明日、この人と一緒に映画に行きたいな」と誘う時、 ネイティブの日本人であれば、間違っても

「明日、あなたは私と一緒に映画を見に行ってくれませんか?」

とは言いません。

「明日、よかったら○○っていう映画を見に行かない?」

って感じになります。 この文章では主語がすごくあいまいで、「あなた」に対して問いをたてつつ、動詞は「わたしとあなた」という雰囲気を持っていて、 「わたし」「あなた」「あなたとわたし」という三つの隠れ動作主が共存しつつ、いずれも言葉としてはっきりと表現されません。

自分の意見を言うときも、

「あの監督の作品だったら、前作の方が面白かったなー」

という感じになります。もし、はっきりと

「わたしは前作の方がおもしろかったなー」

と言うと、もっと押しが強い印象を与えることになります。 フランス語は、その仕組み上、主語を言わないで文章を作ることは不可能です。

Je préfère son film précécdent. (私は彼の前作をより好む)

* Préfère son film précédent. (* は文法上正しくありません)

「わたし(je)」と発音せずに、自分の意思を伝えることはできません。 こんな風に、常に「わたし」を空気に混ぜてふんわり伝える言語と、常にはっきりと発音している言語では、自己主張の上手下手に差が出るのは当たり前なのだと思います。

 

ところで、同じラテン語圏でも、スペイン語やイタリア語は、日本語のように人称代名詞なしの文章を作ることができます。 でも、自己主張が下手なわけではありません。どちらかと言うと、両方ともほんとよくしゃべる国民だと思います。

では、なんで主張できてしまうのでしょう?

ラテンの熱い血がたぎっているから?パスタ食べてるから?

うーん、私が思うには(←この自己主張も、フラ語脳の影響??) コンジュゲゾン(動詞の語尾活用)があるからなのだと思います。

ラテン語から派生した言葉は、人称、数、性、時制によって動詞の語尾を活用させます。だから動詞の形さえ知っていれば主語が誰なのかがわかってしまいます。 結局、「わたし」という言葉を発音しなくても、動詞で自己主張をきちんとしていることになってしまうのです。

もちろん、文化的背景もあるし、地方によっても違うだろうし、もっと言えば自分の育った環境にも因るでしょうから、人それぞれです。 ただ、フラ語的思考ができるようになると、 「他人がどう思うだろうか」 という不安を基盤とした考え方をすることが減ってくるような気がします。

次回は、こんなことを考えてみようかと思います。

In Labor 学 Tags フランス留学記, フランス語表現
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